保護面接をする際、保護司としてメモは一切取らないことにしています。月ごとの経過報告書を書く際、メモがないと困ることもあります。でも、20年来メモは取っていません。
保護司を委嘱されて1~2年たった頃、「刑事が事情聴取をしているようだ」と思ったことがありました。保護対象者から嫌な顔をされたり、言われたりしたことはありませんが、メモはやめました。
保護司と対象者は通常の人間関係に倍する信頼関係が必要だと思っています。過去の経験から、(誤解を恐れず言えば)対象者から尊敬はされていないだろうなと思った時のほうが信頼されていた確率が高かったように感じています。保護面接期間が終わるまで長くて4~5年です。信頼関係を築くにはあまりに短い時間です。やっと築けたと思った途端すぐ壊れてしまったこともありました。砂上の楼閣の上に立っているような気持ちになったこともありました。あきらめたら負けです。
「ありがとうございました」と帰って行ったきょうの少年の笑顔がずっと続くよう一生懸命サポートしていきたいと思います。
(としひさ)