大分保護観察所と日本更生保護協会から『更生保護』という月刊誌への寄稿を依頼されていました(ブログR6.7.6)。依頼された時期は、今年の6月初旬だったと思います。「寄り添うというテーマで、保護観察対象者とのやり取りを匿名で綴って欲しい」という依頼でした。
3,000字以内という、私にとっては大作でした。何とか締め切りの8月2日までに書き上げ、原稿を編集部に送りました。おととい、私の原稿が載った更生保護が自宅に送られてきました。改めて自分の書いた文章を読み返してみました。
対象者の笑った顔、怒った顔、泣いた顔・・・その時々の状況が、文字通り走馬灯のように脳裏に浮かんできました。
保護司になって23年になりました。これまで担当した対象者の中に、今回ほど『人と人との巡り合わせで人生が変わる』と感じた対象者は居ませんでした。『巡り合わせ1つで望む人生に行けたり、望まない人生に連れて行かれたりする』と強く強く思いました。
『あの場面で偶然○○に会っていなければ非行に走ることはなかったかもしれない』『1つ下の学年だったら非行に走ることはなかったかもしれない』『あの協力雇用主に出会っていなければ立ち直るきっかけを見つけていなかったかもしれない』ほか、同じようなことを何度も、何度も思いました。
勝負の世界に『たら・れば(あの時○○だったら結果は違っていた、あの時○○していれば結果は違っていた)』はないと言われています。人生にも『たら・れば』はないと思います。起こしたこと、済んだこと自体をやり直すことはできません。
今の状況を過去に遡って変えることはできません。でも、自分の手で、自らの手で未来を変えることはできます。
非行を犯したことを考える時、更生を考える時、苦しいと思います。苦しさに負けず、自分自身を一生懸命見つめ、更生への道を歩いてほしいと思います。
(としひさ)