28歳の時、10年間暮らした東京から大分に帰ることにしました。
帰ると決めた日、東京でも老舗と言われるおせんべい屋さんの、お世話になった専務さんのところへ行きました。
大分に帰る話をすると、帰る話とは関係なく、いきなり「仲道君は苦労しないと人間は成長しないと思ってないかい?」と聞かれました。
(そう思ってはいましたが。)
少しの沈黙、そして専務さんの言葉。
「苦労して壁を登って向こう側に立てば、登った分成長するかもしれない。でも、横にすり抜ける道があれば、早く壁の向こう側に立ち、早く先に進んだほうが成長するかもしれない。どちらが良い、どちらが正しい、を言ってるんじゃないよ。人生はこうだと(苦労しなければ成長しないと)、こうあるべきだと自分で自分を縛らないほうが、見えてくる世界が広がると思うよ。」
私の考え方が大きく変わった瞬間でした。専務さんの言葉を今でも噛みしめています。