大分市議会は、『大分市議会 政務活動費(政務調査費)使途基準及び運用指針』を、 2008年(平成20年)3月に策定しました。各会派の経理責任者を中心に素案を作り、全議員で成案に仕上げました。
「日本一厳しい使途基準と運用指針をつくる」が、その時の合言葉です。
政務活動費の交付には、3通りの交付方法があります。
① 全額、会派に交付する
② 会派と一部を議員個人に交付する
③ 全額、議員個人に交付する
大分市議会は、『① 全額、会派に交付する』を選択しました。会派という団体に政務活動費についての責任を負わせるためです。会派の責任ということは、大分市議会全体の責任でもあります。
(1)運用指針作成に当たっての考え方
ア【分かりやすいものであること】
イ【立証が容易であること】
ウ【運用が容易であること】
を、運用指針作成の柱として掲げました。
まず、大分市議会の政務活動費の使途が、市民にとっても分かりやすく、信頼を得られるものとなることを目指しました。また、制度上の要請である使途の透明性を確保することに努めました。
(2)分かりやすいものであること、立証及び運用が容易であることの考え方
ア【分かり易いものであること】
領収書の内訳、支出項目を見ただけで「市政に関する調査研究」に必要な支出であると誰にもわかる経費に使用することを原則としています。
イ【立証が容易であること】
領収書の内訳、支出項目を見ただけでは、「市政に関する調査研究」に必要な支出であることが分からない経費については、透明性確保の観点から、政務活動費の使途基準に適合しているという立証が必要となります。
立証のためには、領収書のほかに、会派の「市政に関する調査研究」の目的、内容、結果等、支出している経費に応じて、添付書類が必要となります。
しかし、立証のための複雑多岐にわたる添付書類は、市民にとって、その支出と市政に関する調査研究との関連が分かりづらく、政務活動費の使途の透明性の確保が困難になる恐れがあります。
したがって、政務活動費は、会派の「市政に関する調査研究」に資するための支出であると容易に立証できる経費に使用することを原則とし、立証のため複雑多岐にわたる添付書類が必要となるような経費は、政務活動費の支出の対象としないことにしています。
ウ【運用が容易であること】
電話料等のように、社会通念上「市政に関する調査研究」に必要不可欠な経費であると推認できても、通常の議員活動、選挙活動、私的生活に使用された部分が混在している経費があります。
このような経費は、「市政に関する調査研究」に使用された部分とその他の部分に分けて立証することは、技術的に困難なので、立証の容易さの観点からは、政務活動費の支出にはなじみにくいと思われました。
しかし、これらの経費について政務活動費の支出を一切認めないということは、会派の「市政に関する調査研究」に関し、支障が生じることが考えられるので、その使用実態に即して、「限度額支給方式」、「按分額支給方式」を導入しています。
この方式は、会派の「市政に関する調査研究」に資するという観点から、その活動に必要不可欠な経費に限って導入するものとし、常に使用実態を把握することに努め、その頻度と割合が少ないと思われるものは、政務活動費の支出を認めないこととしています。
(3)運用指針の検証
今後とも社会情勢の変化等に留意して各種事例や新たな判例(裁判事例)等を検討するとともに、運用指針の検証が必要となった場合は、大分市政務活動協議会理事会において検討し、必要に応じて運用指針の改定を行うものとしています。
2008年策定後、より厳しい判例等が出されるなどしたため、改定を2009年、2011年、2013年、2016年と行いました。
(4)チェック体制
例えば、自民党議員団は4重のチェック体制を敷いています。
〇各議員から『領収書等を添付した支出調書等』の提出
➡自民党議員団の経理責任者がチェック
➡自民党大分市支部連合会の事務局がチェック
➡自民党議員団の団長がチェック
➡議会事務局の専門職員がチェック
という体制です。
(5)政務活動費の返還
年度末(3月31日)までに、支出されなかった政務活動費は、5月31日までに大分市に返還します。
大分市議会の政務活動費は、厳しい使途基準と運用指針、そしてチェック体制のもとで、『市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに使用してはならない(条例第7条)』とされています。
今後とも適宜『大分市議会 政務活動費使途基準及び運用指針』の見直しを行い、日本一厳しいといわれる使途基準とその運用に努めてまいります。
(としひさ)