消防指令業務の運用について(12月議会 一般議案)

としひさより

12月議会に提案された一般議案(*1)の中に、『消防指令業務を、大分県下の全市町村で共同運用する』という議案があります。内容を平口で言うと、『全県下からの119番通報を、大分市旧荷揚町小学校跡地に整備する高機能消防指令センターで受け、センターから該当する市町村の消防本部に直接出動指令を出す』というものです。議会がOKを出せば、2024年(令和6年)4月1日から起算して1年を超えない範囲内で施行されます。

消防指令業務を共同運用する効果としては、
 大規模・特異災害に対する対応力の強化
県内で発生した災害情報や消防車両の出動情報を一元的に把握・管理することにより、市町村間の迅速な応援体制がつくれる。
 通信指令員の人員削減と現場要員の強化
県内各消防本部(局)通信指令員等97人⇒共同指令センター49人
県内で48人の削減効果がある。加えて、現場要員等に再配置することにより消防力の強化が期待できる
 高機能消防指令センター整備費等の削減効果
国が示す『連携・協力』に沿った事業であることから、『緊急防災・減災事業債(交付税措置70%)』を活用できる。残りの各市町村負担額(30%)のうち1/2は県が財政支援してくれる。
(システム整備には約12億円かかります。市町村が単独で事業を行った場合、全額市町村の負担となります。共同運用事業とすると、上記事業債等活用し、大分市を例にとると市の実質負担額は約2億円となります。)

共同運用とした場合、今後の課題としては、
①携帯電話からの119番通報では、GPSの状態で位置情報が若干ずれることもあるそうです。その場合、他市町村からの119番通報を、土地勘のない大分市の職員が受けた場合、位置の特定に時間がかかることも考えられます。(自宅電話からの119番通報は、GPSにより、ピンポイントで位置を特定できるそうです。)
②回線がいっぱいになり、高機能消防指令センターでも119番通報が話し中になる可能性があります。例えば、大規模災害が複数の消防本部の管轄内で起こった場合、高機能消防指令センターの回線数では対応できない可能性がある。
といった課題が考えられます。

高機能消防指令センターを共同運用するかどうかは、まず総務常任委員会で委員会2日目に審査され、必要に応じて要望事項等を付した上で、12月議会最終日の12月14日全議員で審議することになります。
(としひさ)

(*1)一般議案:議会の決定を要する議案のうち、予算議案以外のものをいいます。例えば、条例の改正や廃止、議決を要する総合計画などです。高機能消防指令センターの共同運用は、県下の市町村や広域消防組合との委託・受託契約となります。地方自治法252条に『事務の委託・受託』についても議決を要するとされているため、一般議案として提案されてきました。

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