不思議な出来事

としひさより

きのうの夜、わたしにとっては不思議な出来事がありました。シオン(我が家のワンちゃん)が、わたしの手のひらにあごと頭を乗せたまま、スヤスヤと寝入ってしまったのです。保健所からわが家に来て17年、初めてのことでした。

17年前は人間に対する警戒心が解けず、家にも人にも中々慣れてくれませんでした。いまだに家族以外の人が撫でようとすると、怖がって側まで寄って行きません。わたしが撫でていても、気持ち良さげにしているのはわずかの間で、そのうちすっと離れていくことがほとんどでした。

昨夜は朝からの雨が上がり、蒸し暑い夜でした。シオンも、ハッハッハッと荒い息を吐きながらウロウロ歩き回り、眠れない様子でした。夕方の散歩ではペタンと尻もちをついたまましばらく動かず、ご飯もほとんど口にせず、おとといも同様でした。
尻もちと小食が2日つづき、眠れない様子に少し心配になり、「大丈夫かい」と声をかけに行きました。シオンは、ウロウロ歩き回るのを止め、寄ってきてじっとわたしを見上げています。わたしはしゃがみ込み、右の手のひらをあごの下、左の手のひらを頭の上に置き、もう1度「大丈夫かい」と声をかけました。
両手で顔を包み込むように撫でていると、シオンは気持ちよさそうにしています。少しすると腹ばいになり、頭は上げたまま、前をじっと見ています。もう少し撫でていると頭も下ろしてきました。なんと、わたしの右の手のひらに、あごと頭を乗せたまま、寝入ってしまったのです。『あの警戒心の強かったシオンが』と、ちょっとビックリしました。

しゃがんだ体制がきつかったので、わたしもシオンの頭を手のひらに乗せたまま、ゴロンと横になりました。シオンは、20分くらい寝たでしょうか、ゆっくり起き上がり、何事もなかったかのように自分の寝床に帰っていきました。

ちょっと不思議な夜でした。
(としひさ)

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