気遣い

としひさより

病院の待合室での1コマです。

小学校5~6年生くらいの男の子がお母さんと思われる女性と一緒に病院の玄関を入って来ました。受付の横が待合室になっています。待合室には3人掛けの長椅子が横に2列、縦に3列並んでいます。3列とも、受付に近いところに人が座っています。奥の空いている席へは、一番前の長椅子と大型テレビの間の通路を通らなければ行けません。大型テレビは男の子の背丈ほどもあります。

2人は男の子が先に立って歩いて来ました。テレビの前まで来ると、男の子はヒョイと上半身をかがめ、できるだけテレビの画面を遮らないようにして通っていきました。その気遣いに、思わず拍手喝さいを贈りたい気持ちになりました。

2人を目で追っていると、窓際に座った男の子と視線が合いました。『何を見ているのだろう』という顔をしています。心の中で『すごいね』とささやき、視線をはずしました。

男の子のおかげで、とても優しい気持ちになれました。
(としひさ)

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