お布施

としひさより

ある日、伯父から電話が掛かってきました。「お葬式のあと、お寺さんに『お布施*1』をいくら払ったらいいか、大分市の相場を教えてくれ」という電話でした。

取り敢えずネット検索してみました。「目安」は出てきました。金額の幅が広すぎて、とても伯父が納得するような内容ではありませんでした。意を決し、懇意にしている後輩の和尚に聞いてみました。「気持ちがあれば、いくらでも構いません」という、お寺の和尚らしい答えが返ってきました。

しかたなく伯父に電話し、『ネットと気持ちの件』を伝えました。少しの沈黙の後「ありがとう」という伯父の力ない返事が返ってきました。

『無い相場』を探すという答えのない仕事ではありましたが、今でも無力感が残ったことを覚えています。
(としひさ)

(*1)お布施: お経や戒名をいただいたことに対する感謝の気持ちを表すため、お礼としてお渡しする金銭のこと。もともと『自分の持っているものを無条件で他人に渡す』という仏教の修行の1つ。貧しいながらも僧侶にお礼をしたいと考えた人が、汚れていた布を渡した(施した)というインドの逸話から『お布施』という言葉が生まれた。(ネット辞書他より)

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