社会人に成り立てのころ、「歎異抄(たんにしょう)を読んでおくといいよ」と社会人の先輩から言われたことがありました。歎異抄は、親鸞聖人の弟子、唯円の著書とされています。歎異抄の何が良いのかよく分かりませんでしたが、「正解はこれしかないと決めつけない方がいい。ガラスのコップを横から見た人は長方形だと言い、上から見た人は丸い形だと言う。どちらも正解。いろんな角度から考えて、いろんな正解があっていいと思う(ブログR3.4.4)」ということを私に教えてくれた先輩です。「何かあるのだろう」と思い買って読んでみました。
30年以上も前のことです。当時のことをハッキリ覚えているわけではありませんが『何が良いのだろうか?』と思った記憶があります。先輩に何が良いのか聞いても「人それぞれ」という答えが返ってくるのは分かっていました。以来初回を含め3回読みました。文章の捉え方は3度とも違いましたが、いまだに先輩の『いいよ』が何なのかわりません。
歎異抄を思い出したのは、最近つくった『読書の時間』で歎異抄が出てきたからです。寝る前に時間(心の余裕)があれば5~10分くらいを読書に当てています。目的があるわけではありません。本を読みたいという衝動にまかせてのことです。昨夜読んだ中に、『親鸞については教行信証という著書が有名で、そこには親鸞の思想が余すところなく示されているのですが、弟子が聞き書きをまとめた歎異抄はもっと有名で、この書によって救われる人は現在でも少なくないと思われます』と書かれていました。
歎異抄をいま一度読んでみようと思います。
(としひさ)