カイワレ大根・ワカメそばを食べながら見ていたテレビの番組から、『・・・演説に、計算された高度なテクニックが使われている』という言葉が流れてきた。『演説』は、議員の仕事をしていく上でも、選挙戦においても大切なツールの一つ。思わずハシをおき、番組を巻き戻し、コーナーの初めから見直してみた。
コーナーの名前は『目ヂカラが世界を変える』。コーナーの主役は、アメリカ合衆国第44代大統領バラク・オバマ氏。番組のナレーションで、『歴史的な演説者の中でも、特に目の動きが印象的な男がいる。その男が、オバマ前大統領』と紹介されていた。解説で出ていた『心理学の第一人者』も、『オバマさんは天才』と表現していた。
何が天才なのか、番組を観ていて、3つあると、わたしなりに理解した。
1つ目は、演説中、右を見て左を見て、また右を見る回数の多さ。『・・・就任演説で22分位しゃべっている。その間に視線の方向を頻繁に変えている。数えてみると右64回、左62回・・・』。計算すると、約10秒に1回、視線を変えていることになる。ものすごく多い。
2つめは、視線を変える回数が多いだけでなく、右・左がほぼ同じ回数。右64回、左62回。右・左の回数が、視線を動かすタイミングを計算しないでほぼ一緒になったのであれば、まさに天才。また、タイミングを計って回数を合わせたのであれば、これまた天才。常人には難しいと思う。
3つめは、視線の送り方。しっかりと視線を向けてからしゃべりだしている。決して、視線を動かしながらしゃべっていない。これも実際の演説では難しい。変なところで話しを切ると、演説している方も聞いている方も、アレッとなってしまう。
番組の解説によれば、『言葉を発する前に見つめることが大事。見られるというのは、相手に関心を持たれていると感じる。・・見つめられると、親和欲求、親しくなりたいという欲求が高まる。スピーチの内容がどんなに良くても、相手が聞きたいと思わなければ心に届かない』とあった。その通りだと思った。
きょう勉強した演説の極意を、近々試してみようかと思った瞬間、子どもたちの顔が浮かんできた。
浮かんできたのは、娘の成人式での、わたしの議長祝辞について「10秒の約束が27秒かかった」(ブログ2.2)と言う娘の笑顔、つい最近「演説と挨拶は短い方がいいよなあ。長いのはダメ」と、口々に言い合う長男と次男の顔。
「言葉を発する前に見つめていたら、言葉を発する時間がないよなあ」と思う私。
「短さ」と「目ヂカラ」と、またムズカシイ問題に出会ってしまった。
(としひさ)