としひさより

朝の風景から、セミの鳴く声が無くなってしまいました。毎朝、時計の表示が5時30分近くになると、大音量で大合唱をしていたセミたちです。いつの間にか居なくなってしまいました。今朝、聞こえてきたのは、ご近所さんのいつもの朝の営みを伝える、台所のかすかな音だけでした。

セミの命は7年と7日だそうです。土の中に7年間居て、地上に出てからは7日間しか生きられないそうです。今の研究では少しだけ違うそうですが、それでも地上ではひと夏しか生きられない、短い命です。
「人の一生がもっと短かったら、価値観が全く違ってくるだろうな」などと、短い命に思いを馳せながら、まだ横になっていたい思いを残しつつ、ベッドを出ました。

夕方、仕事部屋に戻り、椅子の後ろの棚にある、1冊の本を手に取りました。何年か前に買った『八日目の蝉(せみ)』というサスペンス本です。自宅近くの古本屋さん(ブログ8.23)で、定価1,600円+税を108円で買ってきました。108円ですが、売り上げ冊数が15万部を超える『究極の母性を描いた』ベストセラー本です。
本には、少しだけ黒ずんだ帯が巻いてあります。帯の表の方には、『女は、母になりたいと願った――この罪を、あなたは裁けますか?』『待望のドラマ化 NHK総合 出演:檀れい、北乃きい ほか』、裏側には『罪深い逃亡の果てに、母と娘が見た光――』と書いてあります。「8日目の『光』って何だろう?」と思いながら、夢中で読んだ記憶があります。読み終わって、『8日目の光』が、わたしには漠然としか分からなかった、モヤモヤした記憶もあります。

ブログを書きながら、ふと、「もしかしたら、8日目じゃなく、セミの生涯と同じ7日間の方を描きたかったんじゃないのか?」と思いが飛びました。「視点を変えて、もう一度読んでみたい」と思いました。「読む時間を作れるかどうかは、フトンの中でのあと5分、あと5分(ブログ2.15)を、やめられるかどうかだな」とも思いました。
(としひさ)

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