澄みきった青い空に向かって咲く大きなヒマワリの写真。『大分いのちの電話通信 第107号』の表紙に飾られた写真です。「あなたがつらいとき、近くにいます。希望を持ちなさい」と、励ましてくれているような写真です。
(一般社団法人)日本いのちの電話連盟のHPには、いのちの電話について、『いのちの電話の活動は、1953年にロンドンで開始されました。自殺予防のための電話相談が始まりでした。日本では、ボランティア相談員による電話相談が、1971年に初めて東京で開始されました。2020年、相談センターは全国に50センターと増え、約6,000名の相談員が活動しています』といった内容が書かれています。
『大分いのちの電話通信』と一緒に、『大分いのちの電話2020年度事業報告』も届けていただきました。報告に、2020年1月~12月の電話受信状況が記載されていました。相談件数=9,209件 男女比=男性50.9%女性=49.1% 1件当たりの相談時間=27.1分。相談内容で多かったのは、男女とも、1.『人生 (生き方、孤独、死別、事件、事故、災害)』、2.『精神 (うつ、統合失調症、嗜好行動、自傷行為、性、その他の疾患)』となっていました。
通信には、相談員の方の「声」もありました。「・・静寂の中、リリーンの電話音。一瞬、緊張が過ぎる。どんな人からのどんな相談だろう。内容は人生いろいろ、人さまざまである。「ああー、やっとつながった」の安堵の一声に始まり、・・・相談は通常20~30分。まれに1~2時間に及ぶ。「話を聞いてもらって、すっかり気持ちが楽になりました。有難うございました」と結ぶ相談者からのお礼の言葉に、わずかながらも“人の役に立てた”実感が込み上げる。・・」とありました。
わたしは、いのちの電話と聞くと、苦い思いが込み上げてきます。
大学生の夏休みだったと思います。実家に帰省していた時のことです。深夜、家の電話が鳴りました。こんな時間に何だろうと思いながら受話器を取りました。受話器から、女性の声で、「いのちの電話ですか?・・」と聞こえてきました。一瞬何のことか分かりませんでした。番号を間違えたのかなと思い、こちらの名と電話番号を言い、「番号をお間違えではないですか」と言うと、返事がありません。「もしもし」と呼び掛けても返事がありません。仕方なくそのまま電話を切りました。
何年かして、いのちの電話のことを知りました。教えてくれた人に、間違い電話があった話をしました。その人は言いました。「多分、やっとの思いでかけた電話だったんじゃないかなあ。番号を間違えて、ショックで、言葉が出なかったのかもしれない。誰でもいいから話を聞いてほしかったのかもしれない」。その人の言う通りかもしれない、と思いました。思い出す都度、あの時「間違いです」と言わずに違った対応は出来なかったのか?と思います。
(としひさ)