線香とろうそく

としひさより

ロウソクから溶け出したロウが、奇妙な形に成長しました。

朝、仏壇と神棚にお参りする時、それぞれロウソク2本に火を付けます。4本のうち1本だけ、ロウが鍾乳石(しょうにゅうせき)の形で上に伸びました。初めて見ました。

おそらく風のいたずらだと思います。外から部屋に入ってくる風と扇風機の風が微妙に絡み合い、仏壇に向かって吹き込み、不思議な造形美を創り出したのだと思います。

「仏壇と風」で思い出した「話」があります。わたしがまだ小さかった頃のことです。わたしが生れた時の話を、祖母がしてくれたことがありました。無事生れることを願い、仏壇の前に座り、手を合わせていた時、出産の知らせが届いたそうです。その瞬間、線香の煙がクルクルと渦を巻きながら仏壇の奥に吸い込まれていったそうです。
祖母は信心深い人でした。仏様・ご先祖様との縁を感じたと言ってくれました。わたしは、『煙クルクル』は風の仕業だろうと思いましたが、祖母の愛情は十分に感じることができました。 真っ当に成長できたのは、祖母の「話」の影響も大きかったと感じています。
(としひさ)

タイトルとURLをコピーしました