内閣府から、2021年(令和3年)11月の、『月例経済報告(*1)』が発表されました。
基調判断(*2)は、『景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さがみられる』とされました。国は、依然として厳しい財政環境にあります。
大分市の財政状況については、プライマリーバランス(*3)が2003年(平成15年)以降黒字、借入金残高も減少傾向にあります。しかし、財政構造の弾力性を示す経常収支比率が、健全エリアとされる80%未満を大きく上回り、95.8%と5年連続で悪化しています。
今の大分市の財政状況は、臨時的な支出に対して十分な余裕のない、いわゆる『硬直化した財政構造』となっています。
議会として気を付けなければならないことは、硬直化した財政構造の下では、一般的に行政サービスに対する支出が抑制される傾向があることです。必要なところに必要な財政措置がなされない可能性があります。
予算全体のバランス(ブログ12.6)とともに、他の常任委員会の委員と緊密な連携を取りながら、予算措置の優先順位を間違えないようにしなければなりません。
(としひさ)
(*1)月例経済報告 :景気に関する政府の公式見解を示す報告書です。内閣府が取りまとめ、経済財政政策担当大臣が関係閣僚会議に提出し、了解を経て公表されます。
(*2)基調判断 :月例経済報告の冒頭部分です。経済全般を総括的に評価し、個人消費、設備投資などの個別要素の動向についても言及されます。表現については、「弱含んでいる」「改善に足踏みがみられる」「持ち直しの動きがみられる」など、独特の表現が用いられます。
(*3)プライマリーバランス :=(歳入全体―借入金収入)―(歳出全体―公債費(*4))歳入全体から借入金収入を引いたものと、歳出全体から公債費を引いたものの差のことをいいます。この差がゼロであれば、行政サービスに必要な支出を税金等でまかなえていることになります。一方、赤字の場合は税金等だけではまかなうことが出来ないため、借入金で赤字を補てんしている状態です。将来の世代に負担を残すことになります。
(*4)公債費 :過去の借入金の返済にかかる元利償還金と、一時借入金の利子です。